1.心不全について
心不全は分かりやすくいうと、心臓が疲れてしまって全身の血液循環が悪くなってしまった状態です。それによって全身に余分な水分が蓄積し、体重増加を認めたり、足のむくみや、胸に水がたまることで息切れなどが出現します。心不全には必ず原因があります。心電図や心臓超音波を行い、心不全の原因を突き止め、適切な治療を行っていく必要があります。症状に気づいて早めに受診することで、入院をしなくても、外来通院で治療可能なことがあります。治療の原則は、①内服の徹底、②減塩、③飲水制限です。通院だけでなく、家庭での生活習慣が何より大事なのです。また心不全治療の多くは生涯にわたって継続通院をする必要があります。心不全治療に精通した循環器専門医と二人三脚でしっかり治療をしていきましょう。
2.不整脈について
動悸を感じたり、脈がとぶ、めまいや息切れなどは不整脈が原因のことがあります。人間の脈拍は50-100回/分が正常で、脈拍が100回/分より多いものを頻脈、50回/分より少ないものと徐脈といいます。無症状でも実は不整脈が原因で脈が速くなったり遅くなっていることもあります。不整脈には色々な種類があり、たとえ無症状であっても脳梗塞や心不全などを引き起こす心房細動や、その他致死的な不整脈も多々あります。また不整脈の原因として、心臓弁膜症や虚血性心疾患などが背景に存在していることがあり、不整脈診療は循環器専門医のもとでしっかりと行うことが重要です。不整脈根治術であるカテーテルアブレーションや、徐脈や致死的不整脈のペースメーカーなどデバイス治療など入院治療が必要になった場合は、当院と提携する病院をご紹介いたします。
3.虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)について
歩いたり、階段を登ったりすると、普段より息切れがする、また動悸や胸痛を自覚する。これらは狭心症が原因かもしれません。心臓に酸素を供給する血管(冠動脈)が動脈硬化によって、狭窄を来したものを狭心症、閉塞してしまったものを心筋梗塞といいます。心筋梗塞になると冠動脈の血流が完全に遮断され、強い胸痛を引き起こし、死亡率が高くなります。そのため、狭心症の段階で早期に発見し、早期に治療を開始することが重要です。また冠動脈に動脈硬化がなくても、血管が痙攣することで狭窄・閉塞を引き起こし、胸痛を認めることがある特殊な狭心症(冠攣縮性狭心症)もあります。狭心症・心筋梗塞は、動脈硬化に起因することがほとんどであり、その原因として生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病など)、喫煙、加齢や遺伝があります。当院ではそういった原因を含め、総合的に診断・加療を行っていきます。
4.心臓弁膜症について
心臓は血液を全身に運ぶポンプの役割をしており、心臓内は部屋が4つに分かれており、それぞれの部屋の間に血液が逆流しないように弁があります。その弁が硬くなったり、しまりが悪くなったりすることを、弁膜症といいます。大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁という4つの弁が心臓内にあり、心臓超音波検査で観察できます。重症度に応じて、弁置換術などが必要になることがあります。健康診断などの聴診で心雑音を指摘されたら、心臓超音波検査を受けることをおすすめします。